ここのところ、記事が亞書ばかりに集中してしまっているので、ここらでずっと気になっている
昔の事件を取り上げたい。

ただもう
この事件の疑問点などは、他のサイトやブログ(特に故・黒木昭雄氏により)
で出尽くしている感は
あるのだが、風化を阻止するためにも取り上げたいと思う。


一言でいうと岩手県で女子高生が殺害された事件である。

これだけだと、まぁ別段珍しくはない事件なのだが、掘り下げていくと実に腑に
落ちない点が多々あるのである。

まずは時系列から見ていこう。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

2007年5月 小原勝幸はある男性Zより、恐喝される。保証人に佐藤梢Aさんの名前を書く。

事の発端は、まずこの恐喝事件である。この出来事が全ての元凶であるといっても過言ではない。

小原勝幸(当時28歳)はZなる人物に紹介された仕事(型枠大工らしい)を逃げ出し、
面子が潰れたということでZは激昂、小原に迷惑料として120万を請求する。

120万、いくらなんでも破格である。異常な金額だ。
Zとは一部情報によると、この地域の不良を取り仕切る親玉みたいなもので、
同席した小原の弟によると、日本刀を小原の口に咥えさせ、恐喝した模様。
更には小指に包丁をあてがい、クリスタルの灰皿でコツンコツンと叩いたとも。
これだけでZの人となりが知れるというものだ。

また保証人の佐藤梢Aというのは当時の小原の交際相手である。(彼女はこのとき、車内で待機)
なぜ”A”なのかといと、登場人物に彼女とは別に同姓同名の佐藤梢”B”がいるのだ。

この同姓同名ということが後に悲劇を生むこととなる。

佐藤梢Bは佐藤梢Aの高校の同級生になり、この佐藤梢AとBは、小原と友人がショッピングセンターで
ナンパをしたところからグループ交際が始まる。小原と梢A、友人と梢B(後に破局)といった具合。

2008年6月3日 小原は恐喝の被害届を警察に届ける。

Zは執拗に小原に迷惑料を要求していたようで、手の込んだことに「ウォンテッド」なる人探しサイトにて
「yakuza」というIDで小原の顔写真付きで行方を捜していたようだ。
それを知ったか知らぬか、Zに恐怖した小原は久慈署に被害届を提出。
6月28日小原が被害届けを取り下げたいと口にする。
      夜9時すぎ、佐藤梢Bさん(17)が、小原に呼び出される。
      深夜、コンビニの防犯カメラの姿を最後に、佐藤梢Bさん失踪。
一転、小原は被害届の取り下げを口にする。これは恐らく、被害届を出されたことを知ったZが激昂し、
尋常ではない様相で、小原に取り下げを(電話で?)迫り、小原が更なる恐怖を覚えたからではないだろうか。

・・・しかし、そうなるとひとつ疑問が残る。
被害届を出したのは6月3日だ。25日経ってからの取り下げというのはあまりにも遅くないか?
どうも腑に落ちない。警察は何をしていたのか?Zの身元は明らかなのにである。
そこまでZが辛抱した?もしくはZの要請に小原が応じなかったか・・・。
でなければ、考えられるのは28日前までにZの元に警察の捜査の手が及んでない
(Zは被害届が出されたことすら知らなかった)ということになる。

いずれにしろ何らかの形で被害届の事実を知ったZは小原に被害届取り下げを要求する。
そこで小原は取り下げるには二人一緒じゃないとダメという名目で梢Aを呼び出す。
(一説によると被害届の取り下げは小原のみでもできたようなので、そうであれば
梢Aへの真の呼び出し目的は被害届取り下げではないということになる)

だが、梢Aは小原の要請を拒否。
というものも彼女、この26日、小原からの日頃の暴力に耐えかね、隙を見て逃げ出し、
実家の宮城に帰っている。

個人的にこの梢Aの行動に関してなのだが、勘がよすぎるというか、タイミングが良すぎでは・・・?
と思っている。

梢Aは己の身に危険が及んでいたことを知っていたのではないか・・・
とさえ勘繰ってしまのだ。

どちらにしろ梢Aは小原の呼び出しを拒否。

そこで槍玉にあがったのが同姓同名の佐藤梢B。

同姓同名ならバレないとでも思ったのか。小原は梢Bを呼び出し、コンビニで待ち合わせする。
このコンビニの防犯カメラに映っていたのが梢B最後の姿。
これが最後ということは、警察に梢Aの替え玉として、被害届取り下げに行っていないということになる。

つまり、梢Bを呼び出したのは別の目的になる。
その目的なのだが、Zに梢Aの替え玉として梢Bを差し向けたということぐらいしか思いつかない。
人質としてか、あるいは保証人として彼女の家族にたかる目的があったのか何なのかは定かではないが、
小原はZへ梢Bを手引きしたと思われる。
ただ、Zに接触するのは小原も極力避けたかっただろうから、どうやって梢Bを手引きしたのかが謎でなる。

6月29日 手にケガをした小原が弟の家に現れ、病院へ。

その後、小原は手に怪我をして弟に連れられ病院に行っている。 
マスコミによって差異はあるのだが、小原曰く「壁と喧嘩した」、「女を殴った」との情報が出ている。
診察した医師によると機能障害が出るほど、箸も握れないほどの重症だったそうだ。参考(youtube)
つまり、手に尋常ではない力が加わっていることがうかがえる。
それを壁に、ましてや人間に対して出来るのとは到底思えない。
ただ、正直に話してしまうとZに捜査の手が及ぶ=報復が怖いので小原自身が狂言をいった可能性もある。
つまり、Zにやられたということなのだが、激怒しているZと接触したのであれば、
この程度では済まないのでは…とも思う。
仮にZの仕業だとすると、なぜ「手」をやられたのか。これが疑問だ。

どうも28日の小原と梢Bの行動に謎を解く鍵がありそうなのだが・・・。

6月30日ー小原は警察に何度も電話をかけ、被害届を取り下げるように頼むが警察が拒否。

28日の時点で梢BはZに人質に取られているのか、小原の必死な姿が目に浮かぶ。
しかし、警察は「もう2~3日で捕まえるから」という理由でそれを拒否。取り繕ってくれない。
そもそも警察というのは一度受理した被害届を早々取り下げたりしないという話もある。
7月1日 午後4時30分ー佐藤梢さんの遺体発見。
      午後7時ころー小原の様子が急変。パニック状態。
      午後9時頃ー小原の乗った自動車が自損事故。
この遺体発見時刻の直前から小原は態度が急変し、知人に号泣し「もう終わりだ」などと、
狼狽した姿を見せていたそうだ。考えられることとしては

1.梢Bを殺害してしまった
2.梢Bの死亡を知った

のどちらかか。

1だが、当初発表された死亡推定時刻(6月30日から7月1日によると小原にはアリバイがある。
また、手の怪我の状態から見ても、女性一人を殺害し、沢へ橋から投げ捨てるのは困難との見解がある。

つまり、これは明らかに何らかの方法で、小原が警察が死体を発見するより早く、梢Bの死を
知ったのだと思う。普通に考えるとZ側からの知らせだろうか。
狼狽したのは、このままだと自分の身にも危険が及ぶかもしれないと察したということだ。

小原は小心者だったということもあり、この時、筆舌に尽くし難い恐怖、戦慄をおぼえたと思う。
そこで自暴自棄になった小原は恐怖心を紛らわす為か酒を飲み、
飲酒運転をして電柱に突っ込んでいる。手の怪我のせいで片手運転だったことも影響しているか、
あるいは酒の勢いで自殺をしようとしていたのかもしれない。
そこへたまたま通りかかり、救助した人によると、言動や臭いから明らかに
酒を飲んでいた様子が窺えたようだ。

7月2日 午前10時40分ころー弟への連絡を最後に、小原が行方を絶つ。

この日の小原の行動が未だによくわからないのだが、事故後、一度実家へ帰った後、
小原は朝、再び家を出ている。
誰かの指示によるものなのか、自発的なのか判然としないが、親戚に頼んで(一部情報によると、
偶然はち合わせた)「鵜の巣断崖」(自殺の名所のようだ)へと連れて行ってもらっている。
(これは自分の車が使えないからだろう)

この断崖の麓で自殺を仄めかす文言を梢A、知人、親、弟にメールで伝えている。
これは小原が

・自責の念から本当に死のうとしたのか
・もしくは死ぬ振りをしてすべてから逃げようとしたのか
・はたまた死ぬ振りをしろと何者かに指示されたのか

どれなのかはわからないが、ほぼこの3択のどれかだといっていい。

心配した知人の山田氏はここへ駆けつけているが、小原が誰かと普通に電話している姿を見て、
凡そこれから死ぬようには見えなかったため、引き返している。
(この電話の相手は久慈署のC刑事(恐喝事件の担当刑事)らしい)
これから死ぬように見えなかったということは、リラックスして電話していたということになる。
C刑事が安心させるような言葉を小原に言っていたのか?

7月3日 午後4時ころ 鵜の巣断崖の突端近くで小原容疑者のものと思われる
サンダル、タバコ、などの遺留品が見つかる。

これらはたまたま清掃をしていた人が見つけたものとのこと。
サンダルは本人のものではなく、鵜の巣断崖まで送った親戚曰く、
そのとき小原はタバコも持っていなかったということから、どうみても偽装自殺だと思う。
ただ、それは小原本人か第三者の手によってかは不明。

様々な証拠が詰まっているであろう携帯電話がないのも不自然。
というより裸足でこの断崖から人目に付かず移動することが、ほぼ不可能な模様。

※この時系列部分はザ・スクープSPで司会をしていた長野智子さんのブログからの引用

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
と、まあこんなところなのだが、結果的に小原は梢B殺しの容疑で全国に指名手配(公開捜査)されてしまう。

アリバイがあるにも拘らず、そして決定的な証拠がないのに、だ。
手の怪我も到底、遺体を遺棄できるような状態じゃなかった。

では、何故こんなことが起きてしまったのかというと、
裏に警察の失態があったから、という可能性が濃厚だ。

それは被害届の取り下げに応じなかった故に、関係ない女性=梢Bが殺されてしまったということだ。

小原からの要請の時点でしっかり被害届を取り下げていれば、梢Aの代わりに梢Bを
Zに差し向ける状況は生まれなかった可能性が高い。

疑問なのは

・なぜ県警は被害外届けを取り下げなかったのか…?

本気で警察はZの逮捕に踏み切ろうとしたのだろうか。
怠慢捜査という印象が強い。故意に捜査するのをじらしているようにも感じられる。
それほど行動が遅いのである 。

・なぜ小原を自殺として処理せず、殺人犯と仕立て上げたのか

これは真犯人であろうZを容疑者に出来ない何らかの理由、例えば地元権力者の縁者だったり・・そういった理由があって警察は逮捕ができない。
そこで、既にこの世にいない小原に懸賞金をかけ容疑者に仕立て上げることで、隠蔽工作を計っている・・
(犯罪隠しに税金=懸賞金が使われている)というのが黒木氏の見立てである。

    以下こちらより引用
「当時、1500人ほどの指名手配者がいる中で、懸賞金がかけられたのは5件ほどだった」とし、費用がかかる懸賞手配は、そう簡単には行われないと説明した。「さらに言えば、事件発生からわずか4ヵ月後に懸賞金をかけるのは異例中の異例。1500人の指名手配者の中には時効目前のケースもあるはずで、それを差し置いて、小原容疑者に懸賞金をかけるというのは何とも不自然だった」。

私個人は警察の闇だとかを暴くことにさほど興味はない。
と、いうか闇なんてものは確実に存在はしているのだろう。

私が知りたいのは何が起きたか、という真実なのだ。

こんなことが本当に起こっているのだろうか?罷り通るのか?どのように起きたのか・・・?

上記内容は全て状況証拠による推論にしかならないが、
この異常性に満ちた事件を少しでも読者の方々の脳裏に刻んで頂ければ幸いである。
 


参考リンク 黒木昭雄の「たった一人の捜査本部」