殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人を読了。


殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件


ネタバレが嫌な人はスルーしてください。

1979年以降、栃木県と群馬県で発生している少女の誘拐および殺人事件を
著者で元某雑誌の記者である清水潔氏が解明するということがすべての始まりである。

殺人事件を調べている悪趣味な人やそういったものに明るくない人であれば
北関東連続幼女誘拐殺人事件と聞いても「え?そんな凶悪な事件あった?」といった
感じでピンとこないであろう。なぜならこれは未だに全容が解明できていない未解決事件なのであるから当然だ。

だが「足利事件」というと耳にしたことがある人も多いはず。そう、本書はかの有名な冤罪事件とリンクしていくのである。

一連の事件は同一犯による連続殺人だと推測した清水氏は、足利事件で不自然に逮捕された菅谷さんを
真犯人という枠から排除しようと目論む。
だがどうやって?・・その壁に著者がぶち当たり、奔走。そこから話が展開していく。
 
私もこの冤罪事件はざっくりと知っていた程度であったが、この本には冤罪となるまでの実態、
闇が刻々と書いてある。
というか、著者の清水氏がこの足利事件を冤罪だと解明したと言っても過言ではなく、
菅谷さんを救いだしたのは彼だということは
間違いない。彼がいなかったら、菅谷さんはまだ塀の中におり、下手をすれば死刑になっていたのかもしれない。

一つ思ったのは今までDNA鑑定は確実だと思っていたのだが、この当時はそうでもなかったようで、
それに加え警察や検察といった権力の腐敗があり、この二つのどちらかが欠けていたらあの冤罪事件は
起きなかったのではないか、、と思うのである。しかし、足利事件ではこの2つの凶悪なコンボが炸裂してしまった。

DNAでもなんでも、要は扱う側の問題であり、メンツばかりを重んじる傾向にある当時の(今も?)
警察の対応を読んでいると、部外者ながらも腹立たしさを感じ、憤りを禁じ得ない。
彼らはドラマでも見ているかのようなステレオタイプの悪であり、私が当事者なら猛り狂うこと必至である。

冤罪事件が一段落してもそれはスタートに過ぎず、真犯人を探さねばならないのだが、
なんとこの清水氏、その犯人を見つけた上、本人に突撃インタビューを敢行するという
離れ業をやってのけている。なんという人だろうか?このような人が本来、権力側にいなければならない
人材であると思うが、逆にジャーナリストだからこそ出来ることなのだろう。
 
しかし真犯人と目される人物を警察、検察は華麗にスルーする。

・・何故なのか・・?何故こうも警察は真犯人を庇うのか?まさか身内に犯人がいるのか?と勘繰ってしまいたくなるが、
実はこれも過去の冤罪事件と深く繋がっており、一連の連続殺人の真犯人(と目される人物)を逮捕してしまうと、
警察、検察といった司法サイドにとって絶対にあってはならないことが浮き彫りとなってしまう・・・という顛末である。

この顛末に関しては、実際にこの本を手に取っ手読んで頂きたいと思う。

警察という名の深淵が垣間見れることであろう。

また群馬・栃木近郊に住んでおり、小さな女の子がご家庭にいるという方も必読である。

被害者のご冥福をお祈りします。