今回は前回からの続きで、主に自転車、それと自転車と遺体の遺棄現場などに関して考察してみたいと思う。
F.自転車の鍵とペアになった自宅の鍵だけがなくなっていた点

F-1.偽装工作
→この鍵がもしも家の鍵とセットになっている状態で第3者、そして警察に発見された場合、
ここで事件に巻き込まれたぞ、ということを分かり易く伝えられる反面、家の鍵が付いているので、
被害者は、鍵を自宅のドアを閉める為に使用したものであり、自転車に乗ることが目的ではない、
つまり自転車は偽装、
という可能性も予見されてしまう。
自転車の鍵はただ家の鍵にくっついていただけ・・・という見方もできるわけである。

だが、これがもしこれが"自転車の鍵だけ"の状態で見つかり、(実際そうだった)
更に家の鍵とペアになっていることが誰にもわからないという状態だったらどうだろうか?
被害者は自らの意思で自転車の鍵を持ちだしているという可能性が出てくるわけで、
少なくとも自転車に乗る目的があった、という推測が支配的になる。
このペアの鍵を犯人がわざわざバラしたのは、被害者が
『自らの意思で自転車に乗った』、また『少し距離のある場所に移動した』ということを
強調、演出する為の工作ということである。犯人はそう仕向けたかったのではないだろうか?
だが実際は男子学生の証言により、家と自転車の鍵はペアだったということが、
明るみになったわけで、この場合、自転車と家の鍵をペアにしているという事実を本人以外知りえない
と思っていた人間の犯行になる。

F-2.部屋に入る為
→犯人が被害者の遺体を遺棄後、被害者宅に入ろうと画策した場合である。
単純に考えればこれが自然なんだが・・・色々腑には落ちない。
考えられることとして、自分に繋がる証拠の隠滅など、後は単純に好奇心など。
だが、そうなると矛盾するのが遺体の遺棄場所。
あまり隠そうという意思が感じられず、発見されればすぐ被害者の自宅も調べら
れるはずで、となると、侵入する余裕はあまりなさそうだ。
しかもこの場合、男子学生がいるわけで、それを知っていたなら相当のリスクが必要で、
男子学生が出ていくのを近くでじっと待っている必要も生じる。
まあ、入る入らないにせよ、この場合は、被害者宅を知っている人間、つまり顔見知りの犯行になる。
ただ、逆にいえば顔見知りの犯行に見せかけるための工作、ともとれる。
あとは、行きずりの犯人が被害者に住所を聞き出したという可能性もある。

F-3.男子学生に罪を被せようとした
→これは事件当夜、部屋に男子学生がいるのを知っているものが犯人という場合。
部屋の鍵は男子学生が遺体を遺棄した後、部屋に戻る為に必要になった為、
取って行った、というストーリーを作る為の偽装である。
でもそれならば被害者の発見時、"自宅の鍵だけを持っていない"、という状態にした方がいい
わけで、全裸の状態ではそれがいまいち伝わりづらい。
そもそも濡れ衣を着せるならもっといろいろやり方はあるはずで、ちょっと考えづらい。

F-4.戦利品
よく殺人犯が被害者の所持品を持ちかえるというケースがあるが、そういった場合。
でもそれなら、わざわざバラすか?自転車に鍵をかけて、2本纏めて持って行っても良いと思う。
鍵をかけると拉致った感が出ないから?もしくは自宅の鍵に何か拘りがあるのだろうか?
事件の状況から見て、そう手慣れた感じもしないのでこの線もちょっと薄いと思う。

F-5.家の鍵に犯人に繋がる痕跡が付いていた
拘りがあるとするとこれで、家の鍵に犯人に繋がるものが付属していた場合が考えられる。
まず考えられるのが、指紋。
だが・・この家の鍵はリングホルダーで自転車の鍵と一緒になっていたそうだ。
はたして家の鍵だけに偶然指紋が付くか・・?
更にジャージにDNAも残してしまっているわけで、犯行の杜撰さも見てとれるわけである。
(その中途半端な杜撰さ、適当加減がこの事件を難事件にしてしまっているきらいがある)
リングホルダーにキーホルダーでもついていて、そのキーホルダーが犯人が被害者にプレゼントしたものだったり、
お揃いだとかであれば、その繋がりを消す為に隠滅したとも捉えられる。

F-6.ミスリードを狙った
家の鍵だけを持ち去ることで、"この事件の犯人は部屋の鍵(合い鍵)を持っていない人物"という犯人像を作ることもできる。
そうなると必然的に合い鍵を持っている人間が犯人ということになるが、ここらは徹底的に洗われているだろうし・・。
合い鍵を持っている人間など、限られてくるだろう。
逆に行きずりの犯人が、顔見知り(自宅を知っている人間)の犯行に見せかける為に外していった、ということも考えられ得る。

・・・と、どれも決定打に欠けるので、これ以上考えても埒が明きそうにない。
鍵の件は一旦保留にしよう。

では次の謎。

G.自転車はなぜ電気店近くに遺棄されたのか?

ここで被害者の自宅アパートと、遺体遺棄現場、自転車放置現場の位置関係を整理しよう。
茨城県警のサイトに位置関係が載っている。以下はチラシの地図を拡大したもの。

ibaraki

この距離を考えると、車両の存在は必須だろう。

では、被害者自身が自転車発見現場まで移動した可能性は?

資材置き場は自宅から北西3キロ。
成人女性の自転車での平均時速は12キロらしいので、
その場合、約10分強で自転車の遺棄現場までは到着できる。

ただ・・これも少し考えづらい。何しろ裸眼な上、
当日の気温はマイナス6度の極寒、
この寒さで自転車に乗れば凍てつくことは必至だ。
そもそも前回から長距離の移動はしていないという流れで話を進めているのでこの発想は消したい。

では、問題の自転車遺棄現場とされてる場所を見てみよう。

ibaraki4

画像中央の赤い点付近が自転車遺棄場所。らしい。
と、いうことは電気店とはケーズデンキのことだろうか。
一部情報だと置かれていたのは資材置き場、とのことだが、グーグルアースは
一部、入れない場所もあるので、恐らくこの奥の方ではなかろうか。
とりあえず放置されたのはこの付近、というぐらいに留めておこう。


次に遺体遺棄現場。
ニュース動画を見るに、清流川の西側の河口付近だと思われる。
まず手前側から。
hantai3

更に直進。
hantai4

カーブの箇所。この辺りの川の中に被害者の遺体は遺棄されていた。
これは犯人が、あわよくば遺体が沖の方へ行ってしまうことを願ったのだろうか?
そして、このカーブに差し掛かるまで、ガードレールが全くないのも注目すべきところだ。

そして、そのまま左折すると・・・
hantai2

ここに出る。(
画像左側のフェンスにこの事件を呼びかけるポスターが貼ってある)
ここをずっとまっすぐ行くと土浦駐屯地に行き着く。

成る程、人気が全くなさそうだ。
田畑があるだけで、民家なども見当たらない。深夜から朝方にかけて人気は皆無といっても
良いのではないだろうか。ここを遺棄現場に見据えるというのは、ある程度土地勘がある気がする。
ただ、日中、人の往来が全くないような場所でもないと思うので、
確実に隠蔽しようという気慨は感じられない。

これは自転車にも共通して言えるのだが、隠そうと思う気持ちがあまり犯人に見られない。
この辺りは一貫性がある。
本気で隠そうとするならどちらも山の中にでも運んだほうが得策である。

犯人はその日の勤務開始時間などから、時間的な余裕がなかったのだろうか?
と、すると、この日2004年1月31日は土曜日なので、その日が休日ではない人物か?
もしくは他に何か用があったとか、かもしれないが、時間に猶予がない人物の犯行と考えた場合、遺棄する場所の選択肢として、一旦どこかに、例えば自宅に保管という手があるが、それを嫌った場合、
茂みや生い茂る草むらか川ぐらいしかなく、茂みを闇雲に探すよりかは、車で数キロの場所であり、
土手から転げ落とすだけで、上手くいけば沖へ流れて行ってしまうかもしれない
この清流側の河口といった選択は、一応、理に適っているというか、時間のない中では
無難な選択だったのではないだろうか。
本来ならばバラバラにして山中にでも埋めるかどうかするのが理想であっただろうが。

その死体損壊であるが、これは当然、室内か車内で行われているだろう。
遺体をバラそうと試みたのか、首を絞めた痕跡を消そうとしたのか分からないが、
道具が不十分だったためか、首の傷はかなり深いものの、切断は未遂に終わっている。(ように見える)
また、通り魔や猟奇的なものの犯行に見せかけようとしたのか知らないが、
首や胸、肩にも深い刺しあったようで、身体を必要以上に傷付けている。
個人的には解体しようとするも断念→首だけに傷があるのは不自然だから、
刺し傷を付け、これを死因としたかった、と見たい。
要するに扼殺、絞殺ということを隠したかった、ということである。

殺害現場が室内であれば、損壊も室内だろう。
逆に車内なら、損壊の為に、あえて室内に運ぶのはかなり高リスクだと思う。
犯人は時間にあまり余裕がなかったということで話を進めると、車内あるいは車の近くで殺したなら
損壊も車内と考えるのが自然だ。その場合、当然、損壊作業をするにあたり、
人気のないところへ車を移動する必要がある。
そうなると、自転車もそこに遺棄すればいいはずである。ここで本題に戻る。

なぜ、自転車をあの場所に遺棄したのか・・・?


それを考えていると、犯人の性格、心理状況が浮かび上がってきた。

G-1.捜査の撹乱
→この事件の犯人は、場当たり的というか、楽天的な考えで反抗を犯しているというイメージを
なんとなく思い浮かべてしまっていたが、実際かなり焦っていたのではないのか?と。
事実、ジャージを遺体遺棄現場に残して来てしまっているのがその最たる理由なわけだが、
焦っているなりにやるべきことはやろうとしているような節が見られ、
例えば遺体をバラそうと試みたのか、首を絞めた痕跡を消そうとしたのか、
通り魔に見せかけようとしたか、身体を傷付ける工夫をしており、
はたまた自転車の鍵とペアの家の鍵だけを奪ったりと、
よく分からないことをしているというのも、犯人なりの撹乱を狙ったものであり、焦っている中で、
自分自身が出来る限りのことをやろうとしているという必死さが感じ取れなくもない。
で、仮に鍵が工作だとすれば、この自転車の遺棄も工作の可能性が高まり、
その場合、恐らく遺体遺棄現場と対極の場所に置くことによって犯人が捜査の撹乱を狙った偽装工作の
線のように思える。なので、あのような"よく分からない場所"に自転車を遺棄したという線が一理。
そうなると、遺棄現場に土地勘があった・・とも取れる。

遺体を遺棄後、犯人はその場をいち早く去りたいが為に国道125号線を一気に西に突っ走る。
しかし自転車は相変わらず車内にあるわけで、そろそろ遺棄しなければ・・
という時間の制約もあり、そんな中、ふと思いついたのが、資材置き場である。
何回か通りかかった、見かけた・・程度のことがあり、あそこなら人気がないし、
他に良さ気な場所もない、そして時間もないので(早く終わらせたい)、
資材置き場を採用し、そそくさと立ち去った・・という説。
遺体の行き場所と共通していて、なるべく近場で、そしてなるべく人気がない場所、を選んでいる気がする。

G-2.特に意味はない
→もう一理は、前述したように楽天的な性格というか、余裕のようなものがあり、あの場所に
自転車を遺棄したというのも"特に意味はない"という説。
つまり、たまたまそこに人気がなかったから・・などという理由である。
要するにどこかいい場所はないかな、と物色しながら車で移動しているような
単独なら相当神経が図太い人間の犯行。(まあ、ほんとに図太かったらわざわざ隠さないか)
ただ複数犯だとすると、運点役と物色役とで
分かれられるので、こちらの方なら有り得そう。

個人的にはG-1を採用してみたい。
よく分からない場所、ということこそが犯人の狙いのようなが気がするのだ。
ある種、こちらの説も"特に意味はない"とも言えるが、意味がないということそれ自体に意味がある、
というか。。

では、ここで死体と自転車の遺棄はどちらが先なのかということを考えてみる。
普通の心理であれば、一刻も早く死体を手元から遺棄したいはずだ。時間が経てば経つほどリスクは増す。
地図を見てわかるとおり、自転車を先に捨てたならば、死体を車に乗せたまま長時間移動しなけれなならなくなる。
なので、
恐らく死体の遺棄が先だろう。
死体を清流川河口付近に遺棄し、霞ヶ浦沿いを真っ直ぐ進み、駐屯地を通過し、資材置き場に遺棄、そのまま
帰路についたのではないか。

また仮にニッカポッカの男2人が犯人なら、ということで話を進めさせて頂くが、
早朝5時頃に白いワンボックスカーからニッカポッカ風のズボンの男2人が車から自転車を下ろしていた
という目撃情報がある。

被害者の死亡推定時刻は31日午前0時~2時であり、そこから約3時間半~5時間半後の
午前5時半頃にこの2人組は自転車を下すところを目撃されている。
死体の遺棄がこの後であれば、資材置き場付近から清明川河口まで行かなければならず、
もう日が出てくるような時間だ。
更に遺体の第一発見者によると、「岸辺の草むらにはペンキかと思うぐらいの真っ赤な
二十~
三十センチ大の血だまりと、大量に血がついた黒いズボンが、
ぐちゃぐちゃの状態で落ちいていました
ということで、これが意味するのは、被害者は損壊後、間もなくして河口付近に遺棄されたのであろう、ということが窺える。
血の噴出量から、損壊されてからそんなに時間が経ってないのでは?と思うのである。

損壊された時刻は不明だが、死亡推定時刻から殺害されたのが0時から~
2時の間なので、それを頼りに
適当に妄想してみよう。では、死亡したのは間を取って1時だとし、殺害現場、これも不明だが、
仮に自宅近辺だとし、分かりやすく茨城大学としてみる。
その辺りで殺害したとして、さてどうするか、とあれこれ画策するのに30分。
バラバラにしようとしたか、扼殺か絞殺の痕跡を消そうと決意したか、
あるいは死姦しようとしたか、とりあえず人気のないところへ移動。
それが河口付近だとすると、地図蔵によると茨城大からは約8キロである。
chizu3
車の速度を平均より速めの50キロとすると約9分で河口付近にたどり着く。
信号など諸々を考えて15分としよう。
この河口付近で、諸々の作業を行い、計2時間半ほど費
やす(全く適当)としてこの時点で、4時過ぎ、
それから間もなく遺棄するので、死体遺棄の時間は4時15分頃。
その後、ケーズデンキ付近まで移動するわけだが、
清流側河口からこのケーズデンキまでの距離を測ってみたところ、約9キロであった。
chizu
これも50キロで移動したとすると、自転車遺棄現場付近までは約11分で
到着することが出来る。こちらも諸々考えて15分。
殺害時刻を1時だとすると、一連の犯行が完了するのは4時30分前後ということになる。
二人組は5時半に目撃されているので、まぁ、各所の誤差があるとしても
近からず遠からずといった具合なのではないだろうか?
殺害時刻を2時とすれば、5時半なので、とりあえずこの流れなら時間内に犯行は出来る可能性は高い。
ほぼ主観的な全くの妄想なので参考程度に留めて頂きたい。
そして、これはあくまでニッカポッカが犯人の場合・・である。
それと、車なら10分足らずで現場間を行き来出来るというのはちょっと意外だった。

自転車については、そもそもの考えとして、事件当夜、自転車は本当に彼女のアパートにあったのか?
という疑問もある。
(本末転倒だが)
実は、どこかに停めてあり、
それが犯人にとって非常に都合の悪い場所だった・・ということはないだろうか?
ただ、これを言い出したりキリがない。

今回はこの辺で。