ジャーナリストの中のジャーナリスト、清水潔の桶川ストーカー殺人事件取材記。
以前紹介させて頂いた「殺人犯はそこにいる」同様、警察の理不尽な部分に迫った渾身のルポであり、ドキュメンタリー。とても読みやすく、一気に読めてしまう反面、読み進めるうちに犯人、警察への怒りがこみ上げること請け合いである。この人の書き方がとても引き込まれるというのもあるが、犯人、警察への苛立ちが、読者を急き立て、先へ先へと読み進めてしまうのだ。

どこにでもいる普通の女子大生が、小松という男にナンパされ、その瞬間から彼女の人生は狂ってしまう。小松の悪魔的嫌がらせはエスカレートし、彼女は上尾署に再三相談するも相手にされない。ついには彼女へ対する殺しにまで発展してしまう。

何の落ち度もない彼女が殺され、マスコミは彼女をキャバクラ嬢などと印象操作、そして全く捜査をしない警察。こんな理不尽があって良いのか。清水氏は彼女の友人らに取材する。彼女はその友人らに遺言を残しており、それを手がかりに取材を進めて行くとなんと警察よりも先に犯人(実行犯)にたどり着いてしまうのである。しかし本当の戦いはここからだった…。

清水氏がいなければ恐らく表沙汰になっていないであろうこの事件。というか実質的に解決したのは清水潔その人である。

ちなみに本件の発生が契機となり、2000年に「ストーカー規制法」が制定されており、
これも清水氏の取材による賜物ではないだろか。
こういった事件、他にもあるのだろうと思うと非常に歯痒いのである。清水氏が日本にあと10人は欲しいところである。

警察という組織は必ずしも絶対的な正義の味方でないということを痛感させられる一冊。